床の黒ずみをなんとかしたい!
頑固なフローリング汚れは
どうしたらいいの?

新築の頃や引っ越したばかりの頃はきれいだったフローリングも、いつの間にか“黒ずんでいる!”と感じたことはありませんか? そう気づいた頃にはこまめに掃除をしても、またすぐに汚れが付いてしまう……。そういった状態に陥るケースが多いようです。特に夏場は素足で歩くことも多く、汗や皮脂汚れがついてベタつきがちです。床に寝転がってくつろぐつもりが、かえってストレスになってしまうことも。そこで、フローリングの汚れや黒ずみに困っている方のために、頑固な床汚れの掃除方法を検証してみました。

フローリングのお手入れ方法

その① 乾いたフローリングワイパーでほこりをしっかり取り除く

フローリングの掃除はまず、ほこりをしっかり取ることから始まります。乾いたフローリング用のお掃除シートを使って、ワイパーがけをするのがおすすめです。
掃除機は、大きいチリや隙間のほこりを取るのに適していますが、機種によっては空気中にほこりが舞い上がってしまうことも。部屋中に舞いあがったほこりは、2時間ほどすると、再び床に落ちてくるのだそうです。これでは、せっかく掃除をしても意味がありません。そういった理由から、先にフローリング用のワイパーでほこりを取り除く必要があるのです。

また、フローリング用のワイパーだけでも大部分の床のほこりを取ることができるので、電気代と労力の節約にもなります。ちなみにウェットタイプのお掃除シートは、フローリングが湿って、ほこりや髪の毛が床にこびりついてしまうため、あまりおすすめできません。

その② 掃除機で溝や部屋の隅のほこりを吸い取る

フローリングワイパーでは取りにくい細かい溝のチリやほこりについては、掃除機を使って取っていきます。そのときのポイントは、フローリングの溝に添ってゆっくりと掃除機をかけることです。

掃除機のヘッドを溝に対して斜めに向けたり、垂直に向けたり、または激しく上下に動かしてしまうと、きれいにほこりを取りきることができません。溝に添って優しく、ゆっくり、掃除機を動かすのが効率的です。

その③しつこい汚れには雑巾で水拭きをする

いつものお掃除ならここまでの工程だけで大丈夫です。ただし、しつこい汚れが気になる場合には、気になる部分を固く絞った雑巾で水拭きをするといいでしょう。

新築時などに「フローリングは水拭きしないでください」と言われたり、フローリングの取り扱い説明書にもそう書かれていたりする事がありますが、実際は拭いても問題ありません。

その点について、フローリングの専門家にお話を伺ってみました。
なぜ、水拭き禁止になっているかについてですが、まず、フロアメーカーによるフローリングの保証期間というのは、だいたい2年に設定されていることが多いそうです。

その間に、水が残ったまま放置したり、ワックスをまだらに重ね塗りしてしまうなど、“間違った方法で”お手入れをすると、何らかのトラブルが起こる可能性が出てきます。メーカーの立場で言えば、いわれのないクレームを避ける意味合いで、あえて水拭き禁止にしているのだそう。とはいえ、保証期間さえ過ぎれば、あとはご自由に…というのが本音のようです。

実際の生活では、小さなお子さんやペットがいれば、床に食べ物が落ちたり、お粗相をしたりと、水拭きをしないわけにはいかない状況が多々あるのが現実です。

日常生活をフローリングのために制限されてしまっては、なんだか本末転倒という気もします。正しい方法を知っていれば無理に水拭きを我慢する必要はない、というように、ゆるくとらえるのがちょうどいいかもしれません。

とはいえ、フローリングの種類(※)にもよりますが、木でできている床は水を含んだ状態が続くと反り返ったり、接着面がはがれてきたりすることがあります。また、無垢材などでは、まれに表面が塗装されていない材質を使っていることもあるので、他の床よりも水が染み込みやすい場合も。ですから、水拭きを行うときは固く絞った雑巾で、短時間に住ませ、長時間の放置は絶対にしないことが鉄則です。

※ひとくちにフローリングと言っても、種類や材質、構造はさまざまです。フローリングの種類と注意点については、次のページで詳しく解説していきます。ご自宅の床の種類を知ることが、適切な掃除方法を知ることにもなるので、ぜひ読んでみてください。

その④ それでも落ちないしつこい汚れには中性洗剤を使う

固く絞った雑巾で拭いてもなかなか取れない黒ずみには、中性洗剤が効果的です。普段、食器洗いに使っている台所用の中性洗剤を水かお湯に溶かし、そこに雑巾を浸してからしぼります。水かお湯2ℓに対して、中性洗剤を小さじ1杯程度が適量のようですが、実際は大体の目分量で大丈夫です。

中性洗剤を浸した雑巾をゆるめに絞って床を拭いていくと、黒ずみのおおもとである皮脂汚れが落ちやすくなります。それでも落ちにくい場合は、同じ工程を何度か繰り返しましょう。最後に固く絞ったきれいな雑巾を使って、水拭きをしてください。

最近話題の自然派アイテム

「重曹」や「セスキ炭酸ソーダ」は使っていいの?

最近注目されている「重曹」や「セスキ炭酸ソーダ」。これは自然素材なので体にも安全、安価で手に入り、すぐれた洗浄力があるということで、雑誌やテレビなどでもよく取り上げられています。今では百円ショップでも買えるという手軽さもあって、大人気の定番お掃除アイテムです。これらをフローリングのお掃除に使うことはできるのでしょうか?

セスキ炭酸ソーダはpH9.8の弱アルカリ性。重曹はpH8.2のごく弱アルカリ性で、重曹の方がアルカリ度は低くなっています。そのため、セスキ炭酸ソーダの方が洗浄力は強く、重曹の10倍の洗浄力とも言われています。

ただし、重曹にはセスキ炭酸ソーダよりも研磨力があるため、どちらが優れているというよりも、混ぜて使ったり、用途別に使うケースが多いでしょう。

一般的に重曹が得意なのは、鍋の焦げつき、茶渋の除去や消臭効果、除湿等があげられます。セスキ炭酸ソーダは、ひどいタンパク汚れや泥汚れ、水垢などに効果的です。

こうやって見ていくと、皮脂汚れでベタついた床にもよさそう!と思ってしまうのは当然です。ところが、実際にこれらはデリケートなフローリングの床に対してはあまりおすすめできません。
なぜかと言うと、フローリングの多くは何らかの素材でコーティングされているのが一般的だからです。また、普段のお手入れとして床ワックスを使っているご家庭も多いでしょう。そこに洗浄力の強いセスキ炭酸ソーダや研磨効果のある重曹を使用すると、そのコーティング剤やワックスをはがしてしまうことになるのです。

自然派洗浄剤を使えるかどうかは…床次第

コーティングのはがれた丸裸の床は、さらに水や汚れが染み込みやすくなってしまうので、安易に重曹やセスキ炭酸ソーダを使わない方が安全でしょう。ただし最近、ネットやテレビ、雑誌などのメディアでは、これらを使った床のお掃除方法を積極的に紹介しているケースも見られます。また、セスキ炭酸ソーダ入りのフローリングシートも売られているため、絶対にNGとは言い切れないのが現状です。

ちなみに、自然派洗浄剤として重曹やセスキ炭酸ソーダと一緒に並んでいる「クエン酸」ですが、アルカリ性の重曹とセスキ炭酸ソーダとは別物と考えてください。クエン酸は弱酸性なので、カルキ汚れや水垢、尿石など、アルカリ性の汚れに効果を発揮し、水まわりの掃除に強いと言われるアイテムです。ただし、このクエン酸も最近では消臭・抗菌作用を目的として床に使う方法が紹介されたりもしています。

すべてに共通しているのは、床の素材によっては“床そのものを痛めてしまう場合がある”ということです。どういった素材を使うにしても、まずは一度、お掃除を始める前にご自宅のフローリングがどんな素材でできているかを確認する必要がありそうです。

まとめ

汚れを落とす目的もありますが、毎日足に触れる床は、やはり水拭きしたほうが気分的にもさっぱりしますよね。
重曹やセスキ炭酸ソーダを使ってのお掃除については、あまりおすすめはしないものの、最近では床掃除に使用するのを紹介するメディアも多く見られるようになっています。ここはかなり判断に迷うところですね。

とはいえ、どんな洗浄剤を使うにしても、まずは一度、自分の家のフローリングがどんな素材でできているかを確認し、掃除法を見極めることが大切です。そこで、次のページでは、一般の人にはなかなかわからない「フローリングの種類」についてまとめていきたいと思います。