床ワックス?フロアコーティング?
うちの床、どうしよう…
違いを知って、もう少し考えたい!

フロアコーティングはたしかに魅力だけれど、種類も施工業者もたくさんあるし、やっぱり手軽に手に入る床ワックスもやっぱり捨てがたい…。けれど、毎回のメンテナンスはストレスになるし大変そう…。この悩ましい問題、一体どっちにすればいいの?そんな方のために、ここでは、一般的な床ワックスとフロアコーティングの違いを比較してみました。これを読んで、あなたの家の床に合う最適なフローリングケアの方法を選んでいただけたら幸いです。

床ワックスとフロアコーティリング、一番の違いはズバリ…

床ワックスもフロアコーティングも、その大きな目的は、「フローリングを保護する」「見た目の美しさを維持・向上させる」ことです。その点から、両者にはあまり違いがないと感じる方も多いでしょう。また、床ワックスでのお手入れの延長線上にフロアコーティングがあると捉える方も少なくありません。実際はこの両者は捉え方がまったく違うものだということからご説明したいと思います。

床ワックスは掃除や艶出しという「お手入れの一環」であることに対して、フロアコーティングは「塗装や内装工事の一種」として捉えていただくのがわかりやすいでしょう。
ワックスが定期的に行なうものであることに対して、フロアコーティングは、基本的に一度きりの施工です。以後、メンテナンスを行うことは、特別な補修を除いてはないため、費用や手間が一切かかりません。

床ワックスとフロアコーティリング、床をきれいに見せるのはどっち?

フローリングを美しく見せるという点に関しては、好みの問題もあるので、ワックスとフロアコーティングのどちらがいいとも言えません。

ワックスは自然な光沢が出て、見栄えのいい床に見せてくれます。床材の表面に被膜を貼ることによって、目には見えない床の凹凸が平らになり、部屋の光を均一に跳ね返してくれるのです。
光沢という意味ではフロアコーティングも負けてはいません。むしろ、濡れたような艶を出し、常に“磨きたて”のような清潔感を醸し出すのは得意でしょう。また、小さな傷であればフロアコーティングを施しただけで、隠れて見えなくなることもあります。

ただし、両者でひとつ違うのは、“質感”です。ワックス特有の、触れた時のしっとりとした質感は、今のところフロアコーティングにはありません。
とはいえ、フローリングのワックスがけには見落としがちな、無視できないデメリットもあります。それは前のページでも説明した、ワックスがけそのものが黒ずみの原因となり、フローリングそのものに大きなダメージを与えかねないことです。それを修復するのにかかる費用やと労力は経済的にも精神的にも大きな負担となるでしょう。

メンテナンスのしやすさで考えると、どちらがいい?

メンテナンスのしやすさで言えば、断然にフロアコーティングの方が優れています。そもそも、一度フロアコーティングをすれば、掃除以外でのメンテナンスは必要ないからです。

フロアコーティングをかけることで、日常での清掃もこれまでよりもずっと楽に、効率的になります。水ぶきはもちろん、中性洗剤をつかった掃除も可能になるため、油分によるしつこい汚れも簡単に落とせるようになります。また、汚すことへの精神的ストレスもなくなるでしょう。また、床ワックスでは溶解の危険があるため使うことのできないスチームモップも、フロアコーティングなら問題ありません。

耐久性は?

あらゆる傷や汚れや毎日の歩行による摩耗に対しても、フロアコーティングの方がワックスよりも格段に耐久性が高いと言えます。特にワックスは傷に対しての耐性はほとんどないと言っていいでしょう。フロアコーティングなら、鋭利な刃物をあてても、簡単には本体の床まで届きません。

耐用年数はフロアコーティングの種類にもよりますが、現在施工されているもコーティングのほとんどが10年を超える耐久年数を持っています。それに比べて、床ワックスの周期は半年から長くて1年、ものによっては2、3カ月であることを考えると、フロアコーティングがどれだけ長持ちするかがわかるはずです。

水分や薬品の染み込みや、それが原因の劣化は床ワックスで防ぐことはできません。ところがフロアコーティングなら、被膜がぴったりと表面に密着しているので、水分も薬品も床材の中に通すことがありません。一部、ガラスコーティングが塩素系の薬品に弱いという特徴はありますが、UVコーティングであれば塩素系であろうと、消臭剤であろうと、除菌剤、各種薬品など、どんなものでも安心してフローリングに使うことが可能です。

フロアコーティングは摩耗の仕方も美しい

ただし、長い年月の間にフロアコーティングの状態がまったく変化しないわけではありません。よく歩く部分や、椅子の下などでは少しずつですが摩耗していきます。とはいえ、見た目ががらっと変わるようなことはありませんし、ワックスにように歩行頻度の高いところだけ取れてくるようなこともありません。

見た目の印象で言えば、施工したばかりのフロアコーティングは照明が当たって、床に光のリングが出来ますが、歩行頻度の高いところだけ、その光のリングが少しぼやけてくる程度です。輝きがなくなるというよりは、落ち着いてくるイメージが近いかもしれません。いずれにしても、どんなに年数が経っても被膜が完全になくなることはないので、耐久性への変化はほとんどないと思っていいでしょう。

健康面でのトラブルは心配ない?

床ワックスに含まれる物質が原因で、アレルギーが引き起こされた事例は数多く存在しています。床ワックスには、「パウダリング」と呼ばれる、おもに摩擦によって目に見えない小さな粒子が削られ、空気中に舞い上がる現象がよく起こります。詳しいことははっきりしませんが、呼吸によってこれを体内に吸い込んでしまうことがアレルギー症状の原因ではないかと言われています。
小さいお子さんがいたり、ペットを飼っているお宅では気をつけたいリスクと言えます。特に、室内犬や猫などは床を舐めてしまうことがよくあるので、気になるところです。昨今、自然塗料が流行っている理由のひとつに、このアレルギー問題があるようです。フロアコーテイングの中でも特にUVコーティングは、そうした心配が一切ないので、健康を第一に考えるなら、その選択肢が一番安全でしょう。

また、肌が敏感で普通の洗剤は一切使えないという方もいらっしゃるでしょう。一番丈夫なUVコーティングなら、自然派洗浄剤の重曹などを使っても床が傷つく心配がないので、体に優しいお掃除方法でしっかり汚れを取ることができます。

湿気の多い家などで床にカビが出るケースもあります。また、床材の加工状況や保存状態などによっては、もともと湿気のある床材が使われることもあります。フロアコーティングをすることで、床材の中に湿気がこもるのではないかと心配な方もいるかもしれませんが、実際は空気穴が空いていて、木は呼吸しているので安心してください。

ワックスには防カビ効果はありませんが、UVコーティングであれば、紫外線を当てて硬化させる過程で抗菌作用が確認されています。また、UVコーティングを施したフローリングと通常のフローリングでパッチテストを行ってみたところ、菌の増える量に格段の違いがあったそうです。

それでも心配な方は、除菌剤などを使えばさらに安心です。フロアコーティングをしていれば、それら薬剤の使用もまったく床にダメージを与えず、家中の衛生面が向上します。

滑りにくさは?

ワックスは種類によっては、つるつると滑るタイプのものがあります。
フロアコーティングは、光沢の強いタイプもあるため、「滑りやすくなるのでは?」と思う方もいるかもしれません。実際は逆で、無施工のフローリングに比べてグリップ性、滑りにくさが増します。ガラスコーティングは薄いので、それほどのグリップ性は期待できませんが、シリコンやUVコーティングであれば、素足でも歩きやすく、転倒しにくくなります。ですから、ペットや幼児、高齢者などがいるお宅では、大切な家族の足腰への負担やケガのリスクを大幅に緩和してくれるでしょう。

費用面も当然気になります!

家庭用のワックスは数百円から高くても数千円ですみます。とはいえワックス単品の値格だけで、床ワックスが安いと考えるのは間違いです。実際は、広い面積を塗るためのモップや、剥離作業に使う薬剤、トレイ、スクレイパーなどの備品を揃えれば、数万円の出費は避けられません。そのうえで剥離作業を行い、再びワックスをかけてはまた剥離して…という工程を繰り返すのはかなりの労力と技術が必要になります。

とはいえ、すべて自分で行う覚悟があるのなら、金額面だけで言えば、家庭用ワックスに軍配が上がります。

ただし、清掃業者に頼む「剥離・洗浄・ワックスがけ」の場合はフロアコーティングの方が安くなります。フロアコーティングは業界で最も高価とされるUVコーティングであっても、インターネットでの施工依頼なら、1平米あたり4000円を下回る業者がほとんどと言われています。30平米の施工であれば単純計算で約15万円程度。

ワックスがけの場合、特に安い業者を例にすると、ワックスがけは30平米で2万円ほどが主流です。剥離作業は別途1万5千円ほどの価格設定になっているところが多いようです。これを半年に一度、年に2回行えば、1年で床ワックスにかかる費用は7万円となり、3年続けたところでその総額は21万円になります。フロアコーティングの耐用年数は短いものでも10年、ガラスコーティングとUVコーティングにいたっては20年を誇っているので、金額の差は、年数が重なるほどに広がっていきます。

以上をまとめると、ほとんどの場合、清掃業者にワックスがけを依頼するよりもフロアコーティングの方が安価ですむという結果になります。

まとめ

ワックスとフロアコーティングと比べてみると、多くの面でフロアコーティングの方が優れているという印象がありますね。

ワックスがけをするメリットは、独特のしっとりとした質感が好きな場合か、自分で行う剥離作業やワックスがけを“DIY精神”で楽しめる方に限定されます。そうでない方なら、床を守る効果が高く、安全で安価に、美しい床を長期間維持できる方法はフロアコーティングという結論になるでしょう。