ぴかぴかの床をキープしたい!
市販の床ワックスはかけるべき?
プロに頼むワックスとの違いは?

フローリングお手入れの総仕上げと言えば、まっさきにイメージするのが「フローリングワックス」ではないでしょうか。ただし、ワックスの取り扱いは難しいと言う人もいれば、定期的なワックスがけはぴかぴかのフローリングを保つのに欠かせないという人もいます。そこでこのページでは、ワックスの種類と特徴についてご紹介していきます。いまいちよくわからないワックスの仕組みを理解し、正しい知識を持つことで、失敗しないワックスがけが可能になるはず!?

そもそもなぜ床にワックスをするの?

ワックスがけをするメリットの第一は、フローリングの床を保護できることです。フローリングは、毎日の歩行や椅子の動き、模様替えによる家具の移動などで、どうしても傷がつきやすい状態です。日頃から定期的にワックスをかけておくと、ワックスの成分がフローリング表面に薄い膜をつくり、保護してくれます。その結果、細かい傷などがつきにくくなるのです。

第二のメリットは、光沢が出てぴかぴかの美しい床になることです。その理由はワックスの成分が床表面の細かな凹凸に入り込み、フラットな状態にしてくれるから。床が平らだと光が反射するため、床が輝いて見えるのです。また、光を反射する床はレフ板のような効果もあるので、部屋全体が明るくなり、また顔色も良く見えたりします。床の保護よりも、見た目の美しさを目的にワックスがけしている人も多いかもしれません。

ワックスにはどんな種類があるの?

床用ワックスと言っても、かなりの種類があります。ネットで“家庭用ワックス”と検索しただけでもざっと30種以上ありますし、ホームセンターに行けば、さらに本格的なタイプも売っているので、数え切れないほどです。

お店では、一般的なフローリングには「樹脂ワックス」。オイル加工された床には「油性ワックス」、白木の床には「白木用ワックス」、といったように、フローリングの材質ごとに商品が選べるようになっています。

成分の違いで見ると、ワックスは3種類

ここで、成分ごとにワックスの違いを見ていきましょう。種類は大きく分けて3つです。

■樹脂ワックス
ウレタン樹脂やアクリル樹脂といった合成樹脂を水に溶解させたタイプのワックスです。その中でもアクリル樹脂を主成分としたものと、ウレタン樹脂を主成分にしたものに分けられます。

木の床だけでなく、石床、クッションフロアなど、幅広い用途で使うことができますが、無垢材を使用しているフローリングには使用できません。塗膜が非常に硬く、光沢があるのが特徴で、水や洗剤、摩耗に強いことから、ワックスの中ではこの樹脂ワックスが最も一般的です。

成分の配合によって、光沢を上げるのに特化したもの、耐久性を上げたものなど、さまざまな特徴を持たせることができるため種類も多く、選択の範囲もかなり広めです。ただし、樹脂ワックスは塗る前に剥離剤を使って古いワックスを剥離しなければいけませんし、塗布自体もコツや技術が必要で扱いが難しい場合も…。とはいえ、最近では樹脂ワックスを簡単に塗ることができるシートタイプも売られています。

■油性ワックス
ロウを揮発性の化学溶剤に溶解させたタイプのワックスです。ワックスの成分は水性ワックスと同じですが、ロウの成分をアルコールやキシレン、ケロシンなどの化学溶剤に溶かし、乳化させていることが水性ワックスとの大きな違いです。油性ワックスは塗装されていない床材に適していて、「白木用ワックス」とうたわれているワックスも、分類的にはこの油性ワックスになります。

■水性ワックス
主成分はロウで、それを水に溶解させたタイプのワックスです。塗った後に空拭きが必要で、かなり光沢は出ますが長持ちしません。水性ワックスは水に溶けているということで簡単に剥離しやすく、扱いやすいのが特徴です。ただし、裏を返せば、水拭きで簡単にはがれてしまうということ。床を保護する力も弱く、短期間に塗り直す必要があるとの理由から、現在はあまり使われていないようです。

ワックスがけで床が守られるメカニズムとは?

成分に違いこそありますが、基本的にはどんな種類のワックスでも、「固形の保護成分が化学溶剤もしくは水など、“何らかの水分”に溶けているもの」とイメージしていただくとわかりやすいと思います。
それらを床に塗り、水分が蒸発して乾いていくことで保護成分がフローリングの上で被膜をつくるという仕組みです。とはいえ、水分に溶けているということは、濡らしてしまうと取れやすいことを意味しています。“フローリングの床は水拭き禁止”という説がある理由のひとつは、ここにあるのです。

あれ!?きれいにするつもりが黒ずみの原因に!?
落とし穴ともいえるワックスがけの問題点

「きちんと掃除している、仕上げにワックスも塗っている。それなのに、なぜか床が黒ずんできてしまう。むしろ前よりも明らかに黒ずみが進行している気がする…」という方はいないでしょうか? 実はこういったお悩みが非常に多く寄せられています。床掃除への関心もワックスがけへの関心も、このようにお手入れをすればするほど、床のコンディションが悪くなっていくケースが多いからです。

そこでポイントとなるのが「剥離作業」です。

ワックスの目的は先ほどあげたように、床を保護し、美しい光沢を維持することにあります。しかし、一度ワックスを塗るところまでは簡単にできても、その後の剥離作業を知らないと、ワックスがかえって汚れの原因になってしまいます。

非常に大事な剥離作業って何?

ワックスの剥離とは何かをご説明しましょう。
剥離とは一度、床に塗ったワックスをきれいに取り除くことです。一般的な樹脂ワックスの場合、次にもう一度ワックスを塗る前に、この剥離作業を必ず行わなければいけません。ところが剥離作業をせず、ワックスの上にさらにワックスを重ねてしまえば、汚れが床の表面に抱き込まれ、だんだんと黒ずんでしまうのです。

この仕組みをさらに詳しく見ていきましょう。

一般的な床用ワックスの主な成分はアクリル系の樹脂です。そのため、表面が乾くと透明な薄い膜ができます。これを仮にアクリル板の下敷きの様なものだとイメージしてみてください。
塗った直後はとてもきれいです。ところが、毎日その上で生活していれば摩耗は避けられず、細かい擦り傷がたくさんついてきます。そこに、皮脂汚れやほこりなどが溜まります。それゆえワックスを塗って時間が立つと、全体的に艶がぼやけてくるのです。アクリル製の下敷きも使っていくうちに艶がなくなって、くすんでくるのと同じですね。

その状態の上からさらにワックスを塗り固め、また傷や汚れがつき、さらにワックスを塗る……という工程を繰り返すと、傷や汚れの層がミルフィーユのように重なっていきます。すると、層の中にある脂分が酸化現象を起こします。それによって実際についた汚れ以上に黒ずみが進行してしまうのです。しかも、黒ずみは非常にゆっくりと進行していくため、ワックスがけを始めて数年は、黒ずみのもとを自分でつくっていることに気づきにくいのです。

ワックスの剥離は自分でできる?

では、ワックスの剥離を自分で行うとすれば、どうでしょう。
剥離作業の工程を簡単にまとめると、以下のようなイメージです。

Step1
フロア全体に水で薄めた剥離剤を塗り、スポンジ等で伸ばす(剥離剤をスポンジに染み込ませてから、床に塗るタイプも)

Step2
剥離剤によってワックスの成分が溶けるまで1~5分ほど待つ。

Step3
ワックスが溶けてくるので、スクレーパーや水を含ませたスポンジ、雑巾などを使って取り除く。

Step4
きれいな雑巾で剥離剤が完全になくなるまで何度も水拭きを繰り返す。

ステップ自体は頑張ればできなくもなさそうですが、実際は素人にはかなりリスクが大きい作業です。それは、剥離剤がワックスの成分だけを溶かしてくれるのならいいのですが、薬剤が強いため、同時に床に使われている接着剤まで溶かしてしまう場合があるからです。

また、剥離剤がワックスに反応し、成分が溶けてきたら、素早く反応した順に汚水をとっていかなければいけばなりません。それをたった一人で行うのは不可能でしょう。

そもそも剥離剤は水で薄めて使用するので、フローリング表面が長時間水にさらされた状態になるのは大きなダメージのもと。手際よく作業しないと床が膨張したり、反り返ったりする危険があります。

このような複雑で危険な作業を一部屋まるごと、しかも手早くにこなしていくのは至難の業です。剥離を部分的に行うにしても、フローリングのムラが広がるばかりで、あまり意味がありません。いずれにしても経験のない人が行うと大惨事になる危険があります。

剥離+ワックスはプロに頼めばいい?

ワックスをかけるのは簡単でも、それを均一に剥がす作業をスピーディーに、しかもフロア全体に行うのは難しいことがわかりました。それでは、プロの方にワックスの剥離とワックスがけをお願いする場合はどうでしょうか。

もちろん、プロであれば5層、6層、8層に積み重なったワックスでもきれいにすることが可能です。月日を経て酸化したものを取り除くと、もとの床色が顔を出し、「こんなに明るい色だったんだ!」と驚くでしょう。

ただし、そこで問題になるのが価格です。市販のワックスや剥離剤は数百円から数千円で気軽に購入が可能です。ところが業者に頼むとなると価格はまちまちですが、一般的なリビングの広さを15~20畳として見た場合、2万円台前半から後半くらいの価格が多いようです。もっと広いお宅や「他の部屋も…」となると費用はさらにかさみますし、年に一度頼むとしても、10年単位でのランニングコストは最低でも20万円以上、半年に一度頼めば40万円以上と、かなりのものになってしまいます。

まとめ

床のワックスは一度塗り終わったらそれで安心、そしてまた次にかけたらさらに安心だと思っている人が多いと思いますが、実はそうではないことがわかりました。

実は、ワックスは“かけた後”が大切だったのです。再びワックスがけをするには必ず剥離作業をしないと汚れが積り、酸化して黒ずんでしまいます。それを知らないと、汚れが気になるからとさらにワックスがけの頻度をあげてしまう人もいるようです。
間違ったワックスがけが原因で床を黒ずませているのだとしたら、むしろワックスそのものをかけない方がきれいに保てるかもれません。

その点、プロの業者に頼めば安心で、きれいな床を長期間保つことが可能です。とはいえ、費用は高額になるため、お財布との相談が必要になります。